アフリカの特殊なニーズに答える電力のいらない冷蔵庫スタートアップ

いきなりではあるが、「皆さんのお家には冷蔵庫はありますか?」

ほぼ9割以上の方がYESと答えるのではないだろうか。食料を長く保存するうえでこの冷蔵庫という箱はとても重要で、我々の生活を支えていると言えるであろう。

しかし、日本の中だけでなく、世界に目を向けてみると冷蔵庫のみならず、そもそも電気が通っておらず、冷蔵庫どころかその他生活家電にすらアクセスできていない状況があるのが現状なのである。

OECDの調査によると、14億人もの人が電気にアクセスできていない状況で、簡単にいってしまえば、中国国民全員に電気が通っていないとも言うことができる。これはあくまで例えであるが、人口大国である中国の人口をも上回る人が電気を調達できていない状況にあるのである。

アフリカ大陸で見てみると、同じくOECDのデータによると、2009年時点で5億8000万人が電気にありつけていない状況である。さらに驚くべきことに、OECDが予想した2030年時点では、電気にありつけない人が6億5000万人となっている。まさかの増えているのである。これには多くの原因が考えられうるとは思うが、やはり一番の要因としては、アフリカの急激な人口増加によって、インフラ投資が追いついていない状況があるのではないかと考えられる。

つまり現状のままだと全く解決できていないどころか後退しているといわれてもおかしくない。

今回は電気を使用する家電としてとても重要な位置を占めている冷蔵庫を製造するスタートアップEvaptainersについて紹介する。電気を使わない冷蔵庫として、特に途上国を中心に販売を進めている。

電気を必要としない人間の体のメカニズムを応用した冷蔵庫

特にアフリカなどの途上国においては、食料の調達にかなりの困難を極める。なぜなら、毎日必要な食材をスーパー、もしくは市場に買いに行くだけでもかなりの交通費が掛かっているのである。ただ、食材を買いに行くためだけに毎日遠くにあるスーパーまで足を運び、また戻ってくる必要があるのである。

また、公共交通機関がちゃんと発達していない地域では特に大変である。移動手段も限られてしまうため、場合によっては通常の倍以上の時間がかかってしまうということもざらにある。

今回紹介するEvaptainersのウェブサイトによると、アフリカでの約45%の食物はエンドユーザーのもとに届く前に腐ってしまっているという現状がある。

Evaptainersでは、上記のような課題に目をつけ、電力を必要とせずとも、冷蔵庫としての機能を享受できる簡易版冷蔵庫を開発することで、アフリカなどの途上国における特殊なニーズ、また配送時におけるソリューションとして今回のサービスをリリースしたのである。

この冷蔵庫の一番大きな特徴としては、先ほどから何度も記載しているが、電力を必要としない点である。水さえあれば冷蔵庫としての機能を享受できるのだ。

この冷蔵庫のメカニズムとしては、自分の体を想像するとわかりやすい。例えば、朝ジョギングをした後、夏であればかなりの汗をかいているはず。そもそもその汗というのは体温を下げるために出ている。その汗は最終的に人間の表面の体温を奪いながら蒸発する。それを放射冷却というのだが、その作用をうまく利用したのが今回の冷蔵庫なのである。

他にも、夏によく近所の人が打ち水をしているのを見かけるかと思うが、あれも道路に水をかけ、その水が太陽の暑さで蒸発する際に表面の温度を奪っているため、涼しく感じるのだ。

上記で挙げたように、今回のEvaptainersの提供する冷蔵庫も、放射冷却の作用を利用することで、食材を冷たく保つことを可能にしている。さらには、折りたたむこともでき、屋外で何か冷たいものを販売したい場合にも持ち運ぶことができる仕様になっている。

電力を必要としない冷蔵庫 Evantainerウェブサイトより

冷却に必要な水は1日にたったの3分の1リットルと少ない量の水で冷却機能を利用することができる。

容量は60リットルと大容量の食材を保存できるわけではないが、ニーズに合わせて複数購入し利用するでもいいし、冷蔵がどうしても必要な食材だけ冷蔵するなど、60リットルではあるが使い方によっては様々だ。(ちなみに一人暮らし用の冷蔵庫は120リットルくらい)

今回の開発では、5000万円ほどを調達し行ってきたという。上記のような途上国の特殊なニーズにも答えつつ、キャンプなどのアウトドア用途で使いたい人向けにも商品を販売していくとのことだ。

最後に

ケニアの首都ナイロビにて、冷蔵庫を持っていますかという質問に対し、4割くらいの人が持っていないと答えたときにはとても驚いた。ナイロビ市内はビルが立ち並びとても栄えている印象だったので、このあたりに住んでいる人であれば、冷蔵庫は持っているのではないかと思っていたからである。しかし、結果としては持ってない人が結構多かった。

実際にヒアリングを行ったのが20名ほどなので、正確なデータとは到底言うことはできないが、その中でも4割の人が持っていないと答えたところに、やはり都市の急激な発展によって、格差は明らかに存在していると強く感じた。

それらの人にとって、電力の必要のない冷蔵庫があることによって、かなりの工数が軽減され、その時間をほかの時間に回せる点ですごく有益であるように思える。

このような特殊なニーズを捉え、彼らが本当に必要としているものを提供できるかが、アフリカで事業を成功するうえでの鍵になると実感した。

先進国のものをそのまま横流しするだけでは、彼らのハートは掴めない。

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