イベントチケットやデジタルコンテンツのオンライン販売市場を顕在化する「Mookh」共同創業者にインタビュー

インターネットとスマートフォンの普及に伴い、ケニアではネットに接続できる人が増えている。

インターネットに接続することができることで、様々なサービスをオンライン上で売り買いすることができるようになっている。

まだケニアにはAmazonは参入していないが、ナイジェリア発のJumiaのケニア進出やケニアの通信会社Safaricomが運営する「Masoko」といったオンラインショッピングサービスを提供する会社が登場している。

しかし、どこもまだうまくいっている印象ではない。

今回は、既存のECサービスとは少し変わった角度からアーティスト、イベント主催者、ビジネスオーナー向けにオンライン販売プラットフォームを提供する「Mookh」の共同創業者であるEric Thimba氏、Porgie Gachui氏に話をお伺いした。

チケットや音楽のオンライン販売が可能なプラットフォーム「Mookh」

Mookh CEO Eric Thimba氏

2015年に自己資金である6万米ドルをもとにEric Thimba氏、Porgie Gachui氏、Theuri Mwangi氏によって設立されたケニア発のスタートアップ「Mookh

Mookhはオンライン上でいかなる商品の販売を可能にするプラットフォームを運営している。

Mookhが設立された背景には、CEOであるEric Thimba氏がMookhを立ち上げる前の会社で商品のオンライン販売を始めた時に感じた課題によるものだった。

当時、商品をオンライン上で販売するプラットフォームのようなものはなかったので、ケニアでも多くのユーザーを抱えるFacebook上で販売することに決めた。

Facebookでは、購入希望者に対して、どのように商品を購入することができるのか支払い方法を毎回説明する必要があった。

購入希望のコメントを頂いた際に、そのユーザーに対して実際に店舗の住所を伝えて店舗まで取りに来ていただく方法。もしくは、先にモバイルマネーでお金を送金していただき、お金の入金が確認できれば希望の場所まで配達に向かう方法。

この二つの方法を伝え、購入希望者の合意を得なければならない必要があった。

Eric氏によるとこれらの方法はいずれも機能しなかったという。

この経験から、出品者、購入者ともにストレスなく安心して利用することができるオンライン販売プラットフォームMookhのサービスが生まれることになる。

Mookh TOPページ

出品者はMookh上で会員登録をすれば、オンライン上で商品を販売することができる。

商品はMookhのプラットフォームに掲載される。

さらに出品者は独自のショップURLも持つことができ、URLを共有することで多くのフォロワーを抱える既存のSNSとうまく融合しながら商品の告知を行うことができる。

Mookhのプラットフォーム上では、大きく分けて3つのカテゴリーの商品を販売することが可能になる。

それらは、商品、チケット、デジタルコンテンツの3つだ。

商品は、衣料、化粧品、電化製品といった商品。

チケットは音楽イベントやトークイベントなどのチケット。

デジタルコンテンツは現在、音楽のみ。

Mookhでは、上記3つのカテゴリーから様々な商品をオンライン上で販売することが可能になる。

さらに、Mookh上に統合された決済システムにより、*M-PESA、クレジット、デビットカードによる支払い受け付けが可能になる。

*M-PESAは電話回線を利用したお金の送金システム。2018年現在ケニアのGDPの約半分を超える流通額を記録している。

これがMookhを利用する最大のメリットだ。

SNS上で販売する際のように、わざわざユーザーに支払い方法の説明をする必要はなく、プラットフォームを離れることなくそのページ上で決済を行うことができる。

一度商品が購入されるとMookh上に購入代金がプールされる。

購入者が商品を受け取ったタイミングでお金が出品者に入金されるので、商品と支払代金はMookhによって保障されている。

Mookhで最も利用されているチケットカテゴリー

Mookh上で販売されるチケット

現在、Mookh上で最も利用されているカテゴリーはチケットカテゴリーになる。

音楽やダンスの文化が深く根付くアフリカ諸国では、音楽やダンスに関連するイベントが数多く開催されている。それはケニアも同様だ。

しかし、Facebook等を活用したオンライン上でのチケット販売では、チケットという特性上、商品自体が形として存在しない分オンライン上で販売するには信頼がとても重要になる。

イベント主催者にとって集客を効果的に行うためにオンライン上でチケットを販売したいが、イベント参加者にとってオンライン上でチケットを購入することはかなりハードルが高いという現実があった。

前述したが、Mookhではいずれの商品も購入されたタイミングで代金は必ずMookh側にプールされる。

出品者がイベントチケットをMookh上で販売したのであれば、イベント実施後にチケット代金が出品者の登録するモバイルマネーアカウントに入金される形となっている。

万が一イベントが開催されなかった場合は、チケット代金は購入者へ返金される。

Mookhは、チケットをオンライン上で安心して販売、購入することができるプラットフォームとしてイベント主催者、イベント参加者の口コミでサービスが知れ渡っていった。

これが今、Mookhが提供するカテゴリーの中でチケットが最も利用されている理由だ。

カテゴリーレンジを拡大し他国展開へ

共同創業者のPorgie Gachui氏は他国展開について話してくれた

Mookhは現在、デジタルコンテンツは音楽のみ。チケットはイベントチケットのみと種類が少し限られている。

Mookhはさらに便利なプラットフォームを目指し、より多くのユーザーを集客するためにカテゴリー内の取り扱いレンジを広げていく。

デジタルコンテンツでは、短編映画、ドキュメンタリー、電子書籍、写真の販売を可能にする体制を整えていく。

チケットに関しては、イベントチケットだけでなく、電車のチケットや映画のチケットなど幅広く取り扱いを始めるべく動き出している。

また、カテゴリー内の取り扱いレンジの増加に合わせて、ウガンダ、ルワンダへのサービス展開も行う。

ウガンダでは、ケニアで行われているイベント数の3-4倍の数のイベントが行われていると言われており、イベントだけを見るとケニアより市場規模が大きい。

ケニアだけでなくそういった国にサービス展開を行うことで、それぞれの国のニーズに合わせてカテゴリー内の商品レンジ強化を行っていく。

また、サービス展開にあたって、ケニアの人がウガンダの人の商品を購入する。逆にウガンダの人がケニアの人の商品を購入することも可能になる。

その場合、いずれもオンライン上で自国通貨で商品の売買が可能だ。わざわざケニアの通貨、ウガンダの通貨に換金する必要はなく、売上金も自国通貨で入金される。

インターネットの普及により顕在化されつつある、チケット、デジタルコンテンツのオンライン販売市場

特にケニアでは、インターネットの普及率は85%を超えており、多くの人がネットを利用することができる環境になりつつある。

しかし、EC市場は物流面での課題の多さからどこも苦戦を強いられている現状がある。

商品をオンライン上で購入することはできるが、ケニアでは住所がない場合もあり商品を正しい場所に届けることが難しい。

また、治安の問題もあり安全を考慮して、会社で働く人が帰宅する夜間のタイミングで商品を配送することができないという現状もある。

Mookhでは、通常の商品の販売もすることが可能だが、主に、プラットフォーム上ではチケットやデジタルコンテンツの販売が盛んにおこなわれている。

いずれも商品の配送を行う必要がない商品だ。

Mookhが設立された2015年と比べると、Mookh上でのデジタルコンテンツ、チケット販売数は600%成長を記録している。

2015年には顕在化されていなかったデジタルコンテンツ、チケットのオンライン販売市場が顕在化されつつある。

Mookhは今後急速に成長していく市場でサービス展開を進めていく。