ケニアのグローサリーデリバリー「Wagon Shopping」CEOにインタビュー

​ケニアで筆者が一番面倒くさいなと思っていること。​それは毎週の食材調達。家からスーパーまで歩くと30分くらい。家の近くにキオスクと呼ばれる小さな商店があるが、そこだと必要な食材はすべて揃わない。いずれにせよ、スーパーに行く羽目になる。

スーパーに行くときには、まず、Uberでタクシーを呼び、タクシーが到着したら乗り、スーパーに向かう。タクシー代で日本円にして200円ほど支払う。タクシー代は往復でかかるので合計で400円は必ずかかることになる。また、都市に向かう道はどうしても渋滞してしまう。そのため、お金に加えて時間もかかってしまう。

そして、もう一つ。スーパーでのレジ待ちもとてもストレスがかかる。日本のスムーズなレジ処理に慣れている分、マイペースにレジ処理をこなす姿を見ながらレジを待つのに耐えられない。それだけでなく、ケニアの人は一度に大量の食材を購入するため、そもそもの購入量が多い。それはもちろん、レジ待ち時間を増幅させている。

とても大きな課題を抱えている筆者に、一筋の光がさした。ケニアにグローサリーデリバリサービスを展開するスタートアップが現れたのだ。サービス名は「Wagon Shopping」。オンライン上で商品をオーダーすれば、2時間以内に商品を配達してくれる。まさに求めていたサービスの登場にいてもたってもいられず、創業者へのインタビュー、そして実際にオーダーを行った。

当記事では、創業者へのインタビュー内容、そして実際にサービスを利用してみて思った筆者のレビューを紹介させていただきたい。

ケニアのグローサリーデリバリースタートアップ


今年の9月から本格的にサービスをリリースした「Wagon Shopping」。オフィスにお邪魔すると、創業者のEdgar氏が早速サービスについて、モニターを使って説明してくれた。

彼によると、Wagon Shoppingでは、4つのカテゴリーの中から商品を選択することができる。それらは、「食材」、「飲み物」、「日用品」、「美容品」である。

4つのカテゴリーの中でどのような商品がよくオーダーされているのだろう。とても気になったので実際に聞いてみた。すると面白い結果を聞くことができた。

カテゴリーごとに紹介したい。

食材部門


まず、食材部門からは、ウガリ粉が一番オーダーされているとのこと。まさにケニアらしい結果が返ってきた。ウガリ粉とは、ケニアの主食であるウガリを作るために必要な原料である。オーダー数が多い理由としては、毎日食べる主食であること。またウガリ粉は重いのでデリバリーニーズが大きいのではないかと予想する。

飲料部門


次に飲料部門。飲料部門ではワインの購入が多いとのことだ。こちらにきて驚いたのは、女性もとてもアルコールを飲むということ。特に皆ワインが好きでよく飲んでいるのを目にする。こちらも、そもそもワインが好きな人が多いということ。そして、やはり重く、持ち運ぶのが面倒といった理由から多くオーダーされているのではないだろうか。

日用品部門


続いて、日用品部門。日用品部門ではばらつきがみられるみたいではあるが、石鹸がよくオーダーされているみたいだ。

美容部門


最後に美容部門。創業者は少し照れながら教えてくれたのだが、一番オーダーが多いのが「コンドーム」だとのこと。スーパーに行ってみると分かるが、コンドームはほとんどがレジ近くに置かれている。そのため皆取るのが恥ずかしいのであろう。そう考えるとコンドームはオンライン上でオーダーするニーズがすごく高い商品なのかもしれない。全然話は変わるが、様々なコンドームを扱う、コンドーム特化のE-コマースも面白そうだ。

オーダーを受けてからの流れ

オンラインでオーダーが入ると、すぐにドライバーにオーダーが入った商品を電話でドライバーに伝える。ドライバーはそれら商品を購入するためにスーパーに向かい、すべての商品を購入してからお客様の元へと商品を届けるといった流れだ。

まだ受注後にドライバーまでシステムで自動で連絡する仕組みは整っておらず、近い将来それらの仕組みを導入予定とのことだ。

現在、Wagon shopping専属のドライバーは2名。他にも物流会社と提携しており、専属の2名が配達中の際には物流会社に委託する流れとなる。

気になるデリバリーFeeだが、消費者からは一律で200Kes(約218円)を徴収している。そのうちドライバーには70%(140Kes)が入り、残りの30%(60Kes)がWagon Shoppingの利益となる。

現状、配達料金のみが利益になるため、かなり薄利のビジネスである。ただ、創業者のEdgar氏はちょうどビジネスモデルを変更する予定だと話してくれた。

配達代行モデルから在庫モデルへの切り替えへ

現状の配達代行モデルから在庫モデルへの切り替え。さらに広告スペースの設置によって収益機会を増やす。

在庫モデルでは、メーカーから直接商品を大量に仕入れることで、仕入れコストを抑えるコトができる。そのため、収益はデリバリーコストだけでなく、1商品ごとに利益が発生するモデルへと切り替わる。

さらに、Wagon Shopping上に広告スペースを用意し、商品のプロモーションを行いたい企業向けに広告枠を販売することによって収益化も図るとのことだ。

つまり、Wagon Shopingの収益柱は3つ。

・商品の大量仕入れによる、1商品ごとの収益化
・メーカー向けに広告枠の販売
・配達費用の30%

実際にどれくらいのユーザーは獲得しているのか

リリースから3か月でどれくらいのユーザーを獲得しているのか。とても気になるところである。実際に3か月でどれくらいのオーダーがあったのかは教えていただくことはできなかったが、オンライン上にどれくらいのユーザーが訪問しているのかは教えていただくことができた。

彼によると、セッション数は1000。PV数は3000そのうち約100ユーザーが会員登録を行ったとのことだ。また、ユーザーの購入平均数は8-12品。金額にしておおよそ2500Kes(2728円) 。

仮に100ユーザーの人が週に1回購入すると仮定すると、月間の売上は125万Kesとなる。収益は現状配達費用のみであるので、利益ベースで考えると、3万Kesとなる。

やはり、配達代行モデルだと、そもそものユーザー数が多くないと厳しい。もしくは、栄養の専門家が新鮮な野菜を選んで購入してくれるといった付加価値で1オーダー当たりの手数料をあげない限り難しいだろう。

実際にサービスを利用してみた

ここからは筆者が実際にサービスを利用してみた思ったことを記載していきたい。

tillナンバーと購入金額を入力し決済すればオーダーが完了する

前述した4つのカテゴリーから、自分が購入したい商品をカートに入れ、(会員登録がまだであれば、個人情報を入力し会員登録を済ませ、)M-PESAと呼ばれる、電話回線を利用した送金サービスで決済をすませるとオーダーは完了した。

Cash on Delivery(代金引換)のサービスは展開しておらず、今後もそれらは展開する予定ではないとのこと。必ず先に決済を終えてからでなければ発送は行ってくれない。

さて、筆者にとって最も購入したいものは野菜であった。しかし、食材のカテゴリーを見てみても、商品数がまだまだ少なく、納得のいく商品レンジではなかった。玉ねぎやナス、キャベツ、レタスなどいつも購入している野菜がなかった。そのため野菜でオーダーしたのはトマトのみ。これだと日常的に利用するには満足がいかないというのが個人的な感想だ。

一方で飲み物カテゴリーはとても充実しており、幅広い選択肢から商品を選ぶことができた。日用品、美容カテゴリーも比較的幅広い商品レンジを兼ね備えていた。

個人的に最もニーズのある生鮮食品の商品レンジが少なかったことが残念なポイントだ。配達の際に質を維持するのかが大切なため、どのようにそれらを解決しているのか気になっていたのだが、まだまだ、そこへの対応はできていないというのが現状なのかもしれない。

食材カテゴリーに関しては今後の商品レンジの拡大に期待したい。

オーダーした商品は2時間以内に届くのか?

トマト、ヨーグルト、牛乳をオーダー

実際に、トマト、ヨーグルト、牛乳をオーダーしたが、これらの商品が2時間以内にちゃんと届くのか。

オーダーが完了した時間をメモに取り、実際に2時間以内に配達が完了されるのか計測することにした。

するとオーダー直後にドライバーから連絡があり、上記の商品を今からスーパーに買いに行き、あなたのところまで届けますという旨の電話がかかってきた。また、その際に住所について聞かれた。

そういえば、会員登録、決済の際にも、大まかなエリアを選択しただけで、詳細な住所を求められていなかった。

そのため、どのように配達を完了させるのか気になっていたのだが、電話で住所を確認されるとは思わなかった。

さて、配達はどうなったのかというと、2時間を大幅にオーバーして3時間半後に商品が到着した。

配達員が商品を持って玄関まで来てくれた。

その日はケニアの大統領の就任式があり、道路が封鎖され、少し治安悪化が懸念されていた。だからこそ、1消費者としては2時間以内に配達されることにニーズを感じオーダーした。しかし、2時間以内に配達が完了することはなかった。

また、到着するまでに複数回電話があり、家までの道のりを説明しなければならなく、少し面倒くさいなと思った。

デリバリーサービスを妨げる要因

今滞在している家もそうだが、住所がないため、目印を元に説明するしか方法がないのが現状だ。ケニアでデリバリーサービスが流行っていないのには上記の理由も大きく影響しているのかもしれない。

実際にオーダーしてみて、かなり面倒くさかったので、それは他の人も同じように感じているのかもしれない。

ただし、これらは最新のテクノロジーや、仕組みでどうにかなる話だ。今だとWhat3wordsという3文字で自分の現在地を表示できるサービスもあるし、近くのキオスクで受け取り可能にすることだってできる。一番うれしいのは、アパートのセキリティガードに預けてもらえることだが…

今回、実際に利用してみて、また継続的に利用したいとは思わなかったのが正直な感想だ。

しかし、明らかにグローサリーのデリバリーニーズは感じており、上記挙げた課題が解決されるのであれば、絶対にロイヤルカスタマーになる自信があるのは間違いない。

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