Y Combinator2017デモデイに登壇したアフリカ関連スタートアップ8社まとめ

今回はYcombinatorのアクセラレータープログラムに選出されたアフリカ関連のスタートアップを紹介したいと思う。

読者の皆さんはご存じの方も多いかと思うが、YcombinatorはAirbnbやDropboxなどの世界的に有名になっているサービスを育てたインキュベーターで、Forbes誌が選ぶ世界を変えるテック系インキュベーターでも最も注目されている。

Ycombinatorは毎年2回、約3ヶ月にわたる”アクセラレータープログラム”を実施しているが、2%という厳しい倍率の選考を通過出来るのは、選ばれしスタートアップだけである。

アクセラレータプログラムは最終日にエンジェル投資家や、VCにアピールするためのピッチが用意されている。それをDemo Day(デモデイ)と呼んでいるのだが、そこにアフリカ関連のスタートアップが8社含まれていた。2016年3月に行われたデモデイの4社と比べるとその数は2倍になっている。

世界的に注目されているYcombinatorのデモデイに登壇したということは、厳しい審査を通ってきた証拠でもあり、これからのアフリカを引っ張っていくサービスになることは間違いないだろう。

当記事では、選出されたアフリカ関連のスタートアップの特徴について紹介した後に、8社それぞれについて詳しく見ていきたい。

Ycombinatorに選出されたアフリカスタートアップの特徴とは


今回選ばれた8社の分野を見てみると、フィンテック分野が3社、物流の分野が2社、医療、通信、SNSが1社づつであった。

フィンテック、物流、医療、通信の分野はアフリカで大きな課題を問題を抱えている分野であり、課題解決型のビジネスが多い傾向にあるアフリカスタートアップの現状からしても腑に落ちる結果である

しかし、8社の中に、SNS領域という、課題解決とは少し毛色のちがう分野でのスタートアップがあった。ヘアースタイルを投稿できるSNSアプリを展開するスタートアップである。

アメリカに住むアフリカ系アメリカン女性向けのヘアースタイルを投稿するSNSアプリではあるが、こちらもアフリカ関連のサービスとして加えさせていただいた。

まだまだ、娯楽系のサービスを展開するスタートアップは少ないがこのサービスが火つけ役になる可能性も十分にある。

やはり注目のアフリカのフィンテック市場

アフリカには、銀行口座を持つことができない人が約5億人いるといわれている。これは先進国で暮らすような人々には想像もつかないようなことではあるが、アフリカの銀行口座を持たない人達は、それ故に”お金へのアクセス”が非常に限られているのだ。

例えば、ケニアのM-PESAと呼ばれるモバイル送金サービスは今や国民の70%の人が使っているといわれている。

M-PESAが爆発的に流行った理由は3つある。
①携帯電話さえあればモバイルバンクとして使用できること
②電話回線を用いた新たな決済・送金手段を打ち出したこと
③少額送金のニーズに対応したこと

このようなアフリカ社会において、非常にインパクトの大きい課題を解決できるのがフィンテック領域であり、Y Combinatorのデモデイでも3社が選出されている訳にも納得がいく。
実際に、アフリカではフィンテックの分野でサービスを展開しようとしているスタートアップは多い。アフリカ域内における資金調達額の内、30%はフィンテックスタートアップによる調達であった。詳しくは以下記事も参照していただきたい。

グラフで見るアフリカ域内スタートアップ市場の実態

Ycombinatorデモデイで登壇したアフリカのスタートアップ8社

ここからはY Combinatorのデモデイで選出されたアフリカのスタートアップを8社紹介する。注目されているフィンテックスタートアップをはじめ、物流、医療、通信、SNSの分野における課題を解決しようと取り組んでいるスタートアップである。

waystocap

Waystocapはアフリカ域内におけるBtoBの取引を活性化させるプラットフォームを展開している。今年の6月にはシードラウンドで約3億円の調達を行ったことで大きな話題となったサービスである。

詳しくは別記事でも紹介してるのでぜひ。

アフリカ版アリババWaystoCapシードラウンドで大型資金調達

kangpe

Kangpeはナイジェリア発の医療スタートアップで、遠方に住んでおり、通院することが難しい状況に置かれている人でも、医師の診断を受けられるサービスである。本サービスの創業者であるkuti氏が医師として働いていた際に、友達から電話やチャットにて病気に関する相談をよく受けていたことがこのサービスを開始するきっかけとなったという。

​詳しくは、アフリカの医療スタートアップをまとめた記事があるので、こちらを参照いただきたい。​

アフリカの医療課題を解決する医療スタートアップ3選

wifi.com.ng

wifi.com.ngはWIFIタワーを建てることで、モバイルデータ通信の30%の価格でインターネットを利用できるサービスを提供している。

アフリカでは、電話線やケーブルを引くことができないエリアがあり、唯一のソリューションはWIFIだったという。

現在35のタワーをすでに建設しており、これらにかかった費用は7か月で回収できる見込みだという。

このサービスは年間で120万USドルの収益を上げており、月間25%の成長をしている。

buypower

Buypowerも同じく、アフリカ版Paypalを目指すサービスである。現在は電気代の支払いをオンラインで簡単に行うことができるサービスを展開している。従来、電気代の支払いはわざわざ長い列に並んで行わなければならなかった。

現在Buypowerは15万ものユーザーを抱えている。これは約140億USドルと言われる電気市場規模のうち40%のマーケットシェアを抱えていることになる。このサービスでは、一回の支払いに対して4%の手数料を課している。

kudi

ナイジェリア発のスタートアップであるKudiは、アフリカ版のPaypalを目指そうとしている。

Kudiでは、チャット形式で支払いを行うことを可能にしているサービスである。指定した金額をチャット上に入力すれば、銀行への送金や、通信量の購入、光熱費等の支払いを簡単に行うことができる。

創業者によると、アフリカではまだ90%もの決済が現金取引で行われており、大きな市場規模が見込まれているという。

ナイジェリアだけの市場で見ても、120USドルもの市場規模があるとのことだから驚きだ。

trade

Tradeは主にガーナで展開されているサービスで、農家とエンドユーザーをつなぐプラットフォームを運営している。

ガーナでは、卸業者が商品の売り上げの50%から70%の額のマージンを得ているとされており、農家にとっては安く買いたたかれ、エンドユーザーには高く売られている現状がある。

このプラットフォームでは、農家から直接仕入れ、エンドユーザーまで配達をしている。手数料は100㎏につき6%と、卸業者と比べてかなり低い設定となっている。

Tradeは当プラットフォームを用いて、適切な市場環境を創出し、卸業者を追い出したいと考えている。

tress

Tressはアフリカの人向けにお洒落な髪型の写真をアップロードすることができるアプリを展開している。このSNSアプリはすでに10万ダウンロードを記録している。黒人の女性は他の地域の人と比べて9倍もの時間をヘアースタイルを整えるために使っているという。この美容市場は50兆円もの規模があるとまで言われている、かなり大きな市場なのだ。

現在、youtube、インターネット、友達など様々な媒体を利用してヘアースタイルに関する情報を収集しているが、Tressが目指すのは、それらの役割をすべて担うこと。現在、週30000人のアクティブユーザーがおり、毎週ユーザーは20%づつ伸びている。ユーザーはTress上で気になるヘアースタイルのシェアをしたりとアクティブに利用しているようだ。

ニーズを的確にとらえた新しいアフリカのSNSなのかもしれない。

Aella credit

Aella Creditはナイジェリアで展開されている少額ローンの貸し出しサービスを展開している。Aella Creditは雇用主である会社と契約し、従業員のHRデータをもらう代わりに、その従業員に対して少額ローンの貸し出しを可能にしている。非常に面白いスキームである。

雇用主にとっては、従業員から給与の前借り要請に対応する手間がなくなり、従業員にとってはワンクリックで簡単に融資を受けることを可能にしている。

返済は給与から天引きされるため、Aella Creditにとっても貸し倒れのリスクは少ない。従業員にとっては返済情報が記録され、信用情報がたまっていくことになる。

最後に

今回はYcombinatorのアクセラレータープログラムに選出されたアフリカのスタートアップを紹介した。

応募スタートアップの中でたった2%しか手にすることができない”デモデイ”への参加券。厳しい審査を通った上記のアフリカ関連スタートアップは2016年に4社、2017年には8社と今後も選出されるアフリカのスタートアップは増えていくのではないかと予想できる。

引き続き今年度にもう一度行われるデモデイに注目したい。

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